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【獣医師が解説】犬の爪切りの正しい方法、愛犬が嫌がるときの解決方法

最終更新日:

人は定期的にある程度爪が伸びてくると、自分で切りますよね。
一方で犬の場合は、爪が伸びたとしても自分で切る事はできません。

お散歩にたくさん行く子は爪が伸びにくいです。
小型犬であまりアスファルトなどを歩かない場合は、爪が削られにくく気づくと結構伸びていることがあります。

適切な爪の長さや、爪切りの方法を知ることで安全に生活することができます。
ここでは爪切りの方法を中心に解説していきます。

基本の犬の爪切り方法

爪切りをするために必要なものと方法について解説していきます。

準備するもの

爪切り

爪を切るためには、爪切りが必要です。
人間用の爪切り、ギロチンタイプの爪切り、ニッパータイプの爪切りなど、さまざまなタイプの爪切りがあります。

愛犬の爪の大きさによって使いやすさが変わってきます。大型犬の場合、小さい爪切りだと爪が入らないことがあります。よく確認してから購入してください。

止血剤・ティッシュ

犬の爪には血管と神経が通っています。
そのため爪を短く切りすぎた場合には、出血をします。
出血を止めるために止血剤があると便利です。

止血剤がない場合は、ティッシュで5分〜10分ほど抑えてください。
基本的には血はすぐ止まりますが、もし止まらない場合は動物病院に相談しましょう。

爪の切り方

爪の切り方をステップ毎に見ていきましょう。

①爪を確認する!

愛犬の爪を見てみてください。愛犬の爪は白い爪ですか?それとも、黒い爪ですか?

白い爪の場合、よく見るとピンク色の血管が透き通って見えるかと思います。
そのピンク色の部分には血管が通っています。

ピンク色の部分よりも短く切ってしまうと出血をします。
また血管とともに神経も通っているため、その部分を切ってしまうと、痛みも生じます。

黒い爪の場合は、残念ながら血管を目視する事はできません。
もし黒い爪の中に白い爪もある場合は、白い爪で切って良さそうな長さを基準にして、黒い爪を切っていきます。
すべての爪が黒い場合は、先端を少しずつ切って調整していきます。

②爪を切りやすい体勢に!

爪切りの成功の秘訣は保定かもしれません。
保定が上手くできると、犬も飼い主さんも負担なく爪切りを行えます。

テーブルなど少し高いところで行うと保定がしやすいです。
その際は必ず、落ちないように気をつけてくださいね。

前の手も、後ろの足も、後ろ側にひっくり返すよう(肉球が飼い主さんに見える状態)にします。
足をひっくり返した時に、体が動いてしまうと上手く切ることができません。

そのため、飼い主さんの体に犬の体を密着させた状態にします。
基本的に保定をする際は、関節を動かないようにすることが秘訣です。
そのため、爪切りでは犬の肩の部分を人の肘または脇で挟んであげると、動きにくくなります。

③実際に切ってみましょう!

切る場合は、後ろ足から行うと良いでしょう。 
爪切りは苦手な子が多いです。前の手からだと恐怖を感じやすくなります。

爪を切る際に、いきなり血管ギリギリを目指すと出血してしまう可能性があります。
少しずつ切りながら短くしていきます。

爪に対して垂直に切ると圧がかかり、痛みが出やすくなります。
爪の周りを少しずつ、円を描くように切ることをお勧めします。

特に黒い爪の場合は、切る範囲がわかりにくいので少しずつ切ってください。
他の指で、白い爪がある場合は、切れる長さを確認します。そして黒い爪も同じ位の長さを目指して、切っていきましょう。

爪の乾燥しているところは切って大丈夫です。
慣れてくるとわかってきますが、切っていくと爪の切断面の中心に、少し湿っているような柔らかい部分が出てきます。

奥には血管や神経があります。そのため、それ以上に切り進めると、出血をします。
湿っている部分がでてきたら、切るのをやめましょう。

④たくさん褒める、ご褒美を与える!

爪切りが終わったら、必ず褒めてあげたり、ご褒美を与えたりしてください。
やはり、もともと爪切りが好きな子はあまりません。むしろ嫌いな子の方が多いと思って良いでしょう。

爪切りをする=嬉しいことが起きる、と犬が覚えてくれると爪切り自体が嫌な時間でなくなります。

飼い主さんに褒められたり、ご褒美をもらったりする事は、愛犬は大好きなんです。
そのために爪切りを頑張れる子もいるので、ぜひ行ってあげてください。

犬の爪切りで注意したいこと

お家で愛犬の爪切りをするときに注意しておきたいことがいくつかあります。

爪を短くしすぎない

いきなり爪を短くしようとすると、血管や神経を傷つけてしまいます。

確かに爪切りの時間がかかると犬も飽きてしまい、動きやすくなります。
しかし時間短縮のために、いきなり短くしてしまうと痛い思いをしてしまう可能性があるので注意してください。

痛みを知ってしまうと、今後、爪切りを持っただけで逃げてしまうことがあります。

慣れないうちは、全ての爪を切ろうとしない

爪切りは慣れれば、そこまで時間はかかりません。
しかし最初は飼い主さんも犬も緊張してしまい、時間がかかります。

始めのうちは、数本だけ切ったら終わらせる。または、後足だけ切るなど部分的に行うと良いでしょう。
慣れてきたら全ての爪を手際よく切ってあげると、負担が少なくなります。

道具の確認

爪切りは劣化してくると、切れ味が落ちてしまいます。
硬い爪がうまく切れない、切り口が綺麗でない場合は、切れ味が落ちている可能性があります。
長く使っていて切りにくい際は、新しい爪切りに変えましょう。

また、爪の大きさによって爪切りの使いやすさは異なります。

ネットなどで爪切りを買う場合は大きさに注意してください。
基本的に小型犬では問題になる事は少ないですが、大型犬の場合は注意が必要です。

特にギロチンタイプの爪切りの場合は、愛犬の爪が入る大きさか確認した上で購入されると良いでしょう。

愛犬が爪切りを嫌がるときの解決方法

もともと足先は、触られるのを嫌がる子が多いです。
そのため日ごろのスキンシップで、手足を触ることに慣れておきましょう。

最初のうちは手足を触れたら、ご褒美をあげたり遊んであげたりすると良いですね。

また数本でも爪切りができたら、思いっきり褒める、ご褒美を与える、などしてあげると苦手意識が薄れていきます。
始めのうちは、全部の爪を切ろうとせずに数本ずつにして無理なく行いましょう。

爪切り以外にも、歯磨きが苦手!というワンちゃんが多いです。
こちらの記事で歯磨き嫌いなワンちゃんへの対応の仕方を解説していますので、ぜひご覧ください。

それでも爪切りを嫌がるときはプロに任せましょう

動物病院で診ていると、爪切りが苦手な子は過去に爪切りで嫌な思いをした子が多いです。
子犬の時に切りすぎて痛い思いをすると、爪切りが痛いもの・怖いものと認識してしまいます。

それでも無理に爪切りを行おうとすると、飼い主さんとの関係が悪くなってしまいます。

動物病院やトリミングサロンで爪は切ってもらえます。
嫌がってしまう場合は無理せずにそういった施設を利用しましょう。

犬の爪切りは、最初は焦らないで

爪切りは慣れないうちは、難しく感じるかもしれません。
やはり人と犬では爪の構造が違います。少しでも出血すると、飼い主さんもびっくりしてしまうかもしれませんね。

犬は爪切りをされる理由が分かりません。そのため抵抗してしまいます。

しかし長い爪を放っておくと、足に負担がかかってしまいます。また、「狼爪」と呼ばれる親指にあたる爪は、地面に触れない爪のため削れません。

そのため狼爪を飼い主さんが切らないと、巻き爪になってしまい、肉球に刺さってしまうことがあります。
肉球に刺さってしまうと化膿し、治療が必要になることがあります。もちろん痛いです。
そうならないためにも、定期的に爪は切ってあげてください。

慣れないうちは大変ですが、数本単位でいいので、少しずつ爪を切れるようにしていきたいですね。

この記事を書いた人

千葉 恵
獣医師

日本獣医生命科学大学卒業
卒業後、千葉県の動物病院にて小動物臨床に従事

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