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【獣医師が解説】飼い主必見!犬を飼ったら登録を忘れずに。登録方法・場所などを解説

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犬をお迎えしたら、犬の登録と狂犬病の注射を接種することは法律で義務付けられています。とはいっても、登録はどこで?どうやって?と悩まれている方もいるかもしれません。

また、引っ越しされた場合や飼い主さんが変更になった場合も、変更届けが必要です。基本的に役所に足を運べば登録することができますが、それ以外にも動物病院や集合注射の会場などでも登録をすることができます。

ここでは、犬の登録方法や場所などに関して解説していきます。

犬の登録とは

犬の飼い主さんは法律上、犬を飼う上で2つの義務があります。
そのうち犬の登録は義務の1つで、必ず行わなければなりません。義務の内容と、なぜ登録しなければならないのかについて見ていきましょう。

犬の登録の義務

狂犬病予防法第4条の規定により、犬の所有者は、犬を取得した日から30日以内に、その犬の所在地を管轄する市町村長に犬の登録を申請しなければなりません。

生後90日以内の犬の場合は、90日を過ぎた日から30日以内に管轄の市町村長への登録申請が必要です。

新規登録をすると犬鑑札(※)がもらえます。犬鑑札に関しては市区町村によってデザインが異なります。また、多頭飼いで複数の犬がいる場合も、1頭ごとに登録が必要です。

(※)犬鑑札について:犬の鑑札、注射済票について|厚生労働省

狂犬病の予防注射の義務

狂犬病予防法第5条(※)の規定により、犬の所有者または所有者以外の犬を管理する者は、狂犬病の予防注射を毎年1回受けさせなければなりません。

狂犬病の予防注射を打つと、注射済票が交付されます。ちなみに注射済票は市区町村によりデザインが異なります。地区によって異なるので調べると面白いです。

(※)参考:狂犬病予防法 | e-Gov法令検索

なぜ犬の登録が必要なの?

犬の登録をする目的は、犬の所有者を明確にすることです。その犬が誰に飼育されているかが分かり、万が一、日本で狂犬病が発生した場合にも迅速に対応することが可能になります。

狂犬病は感染すると治療することができません。そして100%死に至ります。『狂犬病』という漢字から犬の病気と思われがちですが、人間を含むほとんどの哺乳動物に感染します。

狂犬病に感染した動物の唾液中のウイルスが傷口などに入ることで感染します。潜伏期間が長いですが、発病する前に検査する方法がありません。有効な治療法もないため発症した場合、ほぼ100%死亡します。

狂犬病の予防注射をすることで発症を予防することができます。狂犬病の注射を打つ事は犬だけでなく、飼い主自身や周りの人、動物への感染を予防できるのでとても大切なことです。

犬の鑑札および狂犬病注射済票を装着していることで、狂犬病に関しては安全な犬であるとの証明になります。

また、迷子になった時も犬鑑札を装着していれば飼い主さんが分かります。

犬の登録方法

犬の新規登録の手続き方法は難しくありません。

新規登録の場合は、登録料約3,000円が必要で、あとは住所や名前、犬種、毛の色などの個人情報を記入するだけです。

自分自身で役所に登録に行く方法と、一部の動物病院や集合注射の会場で登録する方法があります。

引っ越しされた場合は、引っ越し先の役所にて犬鑑札の交換交付の手続きをします。そのため再登録の場合は、前の犬鑑札を忘れずに持って行ってくださいね。

苗字が変わった場合や、飼い主さんが変更になった場合も同様です。悲しいことですが、亡くなってしまった場合も手続きが必要です。

動物病院によってはそういった変更の手続きができることがあります。変更したい項目がある場合は、一度、動物病院に問い合わせてみると良いですね。

登録費用のほか、犬をお迎えしたらかかる費用については、こちらで内訳を詳しく解説しています。

犬の登録はどこでするの?

犬の登録にはいくつか方法がありますので、飼い主さんの都合がよいところで登録するのがよいでしょう。

役所や保健所で登録をする

市区町村によって申請場所は市役所や保健所など様々です。あらかじめご自身の地区のホームページをみて登録ができるか確認をしてから行くようにしてください。

役所や保健所で登録をする場合は、新規登録料約3,000円がかかります。狂犬病の注射が済んでいる場合は、動物病院から交付される狂犬病予防注射済証を持参します。その際に狂犬病予防注射済票交付手数料の550円を支払うと注射済票が交付されます。

臨時窓口や郵送で登録できる役所もある

役所によっては、臨時窓口や郵送での登録ができる場合があります。場所によって異なるため、こちらも役所のホームページを確認することをお勧めします。4-6月は特に役所が混みやすいので、臨時窓口や郵送が利用できれば便利ですよね。

動物病院で登録をする

すべての動物病院ではありませんが、一部の動物病院では役所に行かなくても代行してくれます。

各県の獣医師会の会員病院であればその場で犬鑑札や狂犬病注射済票が交付されます。また、代行で登録してくれる動物病院もあります。その場合は犬鑑札や注射済票は郵送または後日お渡しになります。

狂犬病の予防注射に行く予定の動物病院が、その場で登録や代行をしているかどうか、動物病院のホームページや電話で確認すると確実です。自身で役所に行かなくて済むので便利ですね。

集合注射で登録をする

あらかじめ日程や場所、時間が決められていますが、狂犬病の集合注射があります。集合注射の会場では、狂犬病の注射や新規登録、狂犬病注射済票の交付を行っています。この場合も特に自分で役所に行く必要はなく、その場で手続きができます。

※新型コロナウイルスの影響で、集合注射の実施に関しては地区によって対応が異なりました。基本的に通常、集合注射は狂犬病月間である4-6月に実施されます。

集合注射の実施の有無に関しては、お住いの市区町村のホームページを確認してください。

引っ越ししたら再登録が必要?

引っ越しして、飼い主さんの住所や、犬の所在地が変わった場合は変更の届け出が必要です。それ以外にも結婚などで所有者の名前が変わる、譲渡等で飼い主が変わる、犬が死亡した場合も同様に、変更するために届け出が必要です。

引っ越しした場合は、引っ越ししてから30日以内に新しい住所の役所に犬の住所変更届を提出します。

ちょうど転入届や転居届の手続きで役所に行く時に、合わせて届け出ると良いでしょう。その際は前の住所で受け取った犬鑑札を持参してください。無料で鑑札の交換交付が受けられます。

また、予防注射を打った場合には、動物病院が発行した狂犬病予防注射済票も持参してください。注射済票が交付されます。

自治体によっては役所だけでなく保健所でも対応しています。インターネットや電話で調べてから変更手続きをすると確実ですね。

また、同一市区町村での引っ越しや犬の飼い主変更の場合は、変更届けは必要ですが、犬鑑札に関して再交付はありません。現在着用している犬鑑札をそのまま使う形になります。

愛犬のため、周りの人のために登録は必要

狂犬病の予防注射に関して、現在日本では蔓延してないから打つ必要はないのでは?と言う意見があるかもしれません。

しかし狂犬病に感染してしまうと、治療することができず100%死に至ります。狂犬病に感染した犬に人が噛まれた場合もほぼ生きることはできません。

海外では、まだ狂犬病が蔓延しています。海外に渡ることもあるので、いつ日本に狂犬病ウイルスが入ってくるか分かりません。

愛犬が人を噛んでしまった場合も、狂犬病に感染していないことを証明しなくてはなりません。狂犬病予防注射を打った証明になる注射済証をつける事は、愛犬だけでなく家族や周りの人にとっても安心して生活するために必要です。

なんとなく登録が面倒くさそうと思っていた方も、動物病院での登録・代行や役所によっては郵送など色々な方法があるので利用してみてくださいね。

この記事を書いた人

千葉 恵
獣医師

日本獣医生命科学大学卒業
卒業後、千葉県の動物病院にて小動物臨床に従事

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