【獣医師が解説】愛犬にとって理想のドッグフードを選ぶには?選び方~適正量まで解説
ペットショップや動物病院、今ではコンビニなど、多くの場所でドッグフードが販売されています。しかし種類がたくさんあるため、どのようなドッグフードを選べばいいか迷ってしまいますよね。
愛犬のライフステージや慢性疾患の有無などによって、必要なドッグフードは異なります。
今回は愛犬に合ったドッグフードの選び方について解説していきます。
目次
犬にとってのドッグフードとは?
人間と異なり、犬は自分の食べ物を選ぶことができません。
そのため、飼い主さんが選んだドッグフードを食べて生活します。
味の好みや大きさ、硬さ、など犬によって好みは異なります。
飼い主さんが選んだフードを食べるという事は、飼い主さん次第で愛犬が健康的な食生活を送れる、ということです。
一方でドッグフードの選び方を間違えてしまうと、体重の増減や病気になるなど、健康を害してしまうかもしれません。
手作り食も良いですが、必要な栄養を全て入れようとするとなかなか大変です。
食事は日々必要なものです。愛犬にあったドッグフードを選んであげたいですね。
ドッグフードにもいろいろな種類がある
一口にドッグフードといっても、食べるときの硬さや大きさ、目的が異なります。
目的別での分類
まずは、ドッグフードを目的別に解説していきます。
表現が異なる場合もありますが、ドッグフードのパッケージに表記があるので確認してみてくださいね。
総合栄養食
総合栄養食は、主食として与えることを目的としたフードです。
基本的に総合栄養食とお水を摂取していれば、愛犬に必要な栄養が摂れるように設計されています。
パッケージには「総合栄養食」と表記されています。
療法食
何か特定の疾患を患っている場合に使用します。
最近では、動物病院以外でも療法食を買えるようになっています。
しかし、体に合っていない療法食を食べるのは危険です。
健康な犬には必要な栄養成分も、疾患がある犬にとっては害になってしまうことがあります。
そのため療法食の種類によっては、健康の犬が食べるべきではないものがあります。
また、一度病院で処方された療法食が今後ずっと必要とは限りません。
療法食を食べる場合は、獣医師の指導のもと、与えるようにしてください。
パッケージには、「療法食」「特別療法食」「食事療法食」「食餌療法食」などと表記されています。
間食
間食は総合栄養食とは別に、おやつとして与えるフードです。
おやつ、スナックなど、「間食」というのが分かる表記になっています。
その他の目的食
上記の3つに当てはまらないものを、その他の目的食といいます。
特定の栄養が補給されているものや、サプリメントも含まれます。
「一般食」「栄養補完食」「副食」「サプリメント」など様々な表記があります。
「一般食」を「総合栄養食」と間違えて認識している飼い主さんが多くいらっしゃいます。
確かに表記が似ているような感じがしますね。
「一般食」と「総合栄養食」では目的が異なるので注意してくださいね。
硬さでの分類
また、ドッグフードの硬さによって大きく3つに分けられます。
ドライフード
長期的に保存がしやすく、扱いやすいフードです。また、歯垢がつきにくいのも特徴です。
費用的にも続けやすいところがいいですね。
半生フード
セミモイストフード、ソフトドライフードがあります。粒が柔らかいため、ドライフードが食べにくくなった高齢犬などにお勧めです。
ウェットフード
風味が良く食べやすいフードです。
水分が豊富に含まれているため、食欲があまりない子には水分と栄養が同時に摂れて良いですね。
費用がかかることや歯垢が付きやすいことが難点です。
うちの子に合うドッグフードの選び方
愛犬にぴったりのドッグフードの選び方を解説します。
また、ダイエットしている愛犬がいる飼い主さんは、こちらの記事から確認してみてください。
ライフステージで選ぶ
健康であることを前提に、ライフステージごとにドッグフードを選んでいきます。
成長期
成長期は、体の成長のため栄養がたくさん必要な時期です。
体も胃もまだまだ小さいため、少しずつしか食べることができません。
そのため少量で多くのエネルギーが取れるような子犬用のドッグフードが必要です。
成犬期
成長期に比べると、そこまでエネルギーを必要としません。
そのため、子犬用のドッグフードをそのまま与えていると、太ってしまいます。
また、避妊去勢手術をした後は太りやすい傾向があります。
成犬用フードや、避妊去勢後用のフードがお勧めです。
高齢期
高齢期になってくると様々な病気にかかりやすくなります。また、加齢とともに体が衰えてきます。
高齢犬のフードは、関節をサポートしてくれる成分が入っているものや、心臓病や腎臓病などの病気になりにくく設計されているものが多いです。
何でも食べる子であれば高齢犬用のフードの方が良いでしょう。
しかし食が細い子や、味の問題でドッグフード選びが難しい子に関しては、引き続き成犬用のフードでも問題はありません。
その他の選び方
ライフステージ別のドッグフードを食べていて、何か気になる症状が出てしまう場合は原因を考えてみましょう。
食物アレルギー
年間を通して体がかゆい、あるいは少し便が緩くなるなどの症状がある場合は、食物アレルギーの可能性があります。
食物アレルギーは、アレルギーの原因となる食品を食べている限り症状が発生します。
「そういえばこのフードにしてから調子が悪いかも…?」と感じたら疑わしいです。
フードだけでなくおやつが原因のこともあります。
おやつは犬用のおやつの他、人の食べ物も指します。果物なども入るので注意してくださいね。
疑わしい場合は一度、おやつやフードを変えてみましょう。
症状がひどい場合は動物病院を受診してください。
体重過多
成犬用のフードを食べていて、明らかに体重が増えてしまっている場合はフードの種類や量の変更が必要です。カロリーが低めのフードが必要かもしれません。
また、おやつで太ってしまう場合も多いです。まずはおやつを止める、もしくは減らしてみましょう。
フードを変更する場合は、総合栄養食の中で減量できるタイプを選んでください。
一方で、甲状腺機能低下症のような、あまり食べていないのに太ってしまうような病気があります。
その場合はフードのみで減量することは難しいので、治療が必要です。
何か持病がある場合
腎臓病や尿石症など、何か持病がある場合はそれに適したフードを食べる必要があります。
しかし間違った処方食を食べてしまうと、良くならないどころか、症状が悪化することがあります。
そのため処方食を選ぶ際は、適切な検査や獣医師の指示のもと与えてください。
ドッグフードの適正量とは?
ドッグフードの適正量は、ドッグフードのカロリーや愛犬の体型によって異なります。
まずは愛犬の適正体重を把握することが大切です。
現在、愛犬は痩せていますか?太っていますか?
ボディ・コンディション・スコア(BCS)を見ると大体の目安が分かると思います。
現状キープしたい体重や、目標体重を目安にドッグフードの量を決めます。
ドッグフードのパッケージの裏側を見てください。
体重あたりどのくらい与えるべきか記載があります。その量を守るようにしましょう。
毎日のお食事は、飼い主さんにかかっています
食べ物を選んだり作ったりできない愛犬たちは、毎日のご飯は飼い主さん頼みです。
愛犬に適したレシピで手作り食を作るのも、もちろん素敵です。
しかし、栄養面を考えるとなかなか大変なものです。
愛犬が美味しく食べてくれる事は重要ですが、毎日の事なので費用的に続けやすいかどうかも選ぶ判断材料の1つになります。
健康を維持するために、愛犬に適したフードを選ぶようにしましょう。
この記事を書いた人
千葉 恵
獣医師
日本獣医生命科学大学卒業
卒業後、千葉県の動物病院にて小動物臨床に従事