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【獣医師が解説】犬のトイレは成長してからでもしつけできる?愛犬にトイレを覚えてもらう方法を解説

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『この子、どんなに天気が悪い日でもお家でおトイレできなくて・・・』、とよく飼い主さんに相談されることがあります。雨の日や雪の日など、室内でしてほしい時もありますよね。

もともと犬は、人のように1つの場所で排泄をする習慣はありません。
しかし、現代では室内で飼われているご家庭が多いため、できれば色々な場所での排泄はして欲しくないものです。

室内で排泄するためにはトイレトレーニングが必要です。
時期としては、早いほど良く、特に子犬の時期は頻繁におしっこをするため、トレーニングには最適です。もちろん成犬でもトレーニングは可能です。

ここでは犬のトイレのしつけについて解説していきます。

犬のトイレのしつけはいつからスタートすべき

トイレトレーニングは、早いほど良いです。子犬の社会化期は特に色々なことを学ぶ時期です。お家に迎え入れたらすぐ行いましょう。

お家に来て最初の一週間は慣らすためにサークルで管理することが多いですが、ペットシーツを敷いて褒めることはできます。

成犬の場合も、トイレトレーニングをすると決めたらすぐ取り掛かってください。
高齢になるほど覚えにくくなります。

子犬期のトイレのしつけ方法

まずはトイレを認識させることから始めましょう

犬はトイレというものを認識していません。
まずはペットシーツを排泄する場所と認識させる必要があります。

ペットシーツで排泄をしたら必ず褒めてあげる、ご褒美を与えるなどしておしっこやウンチをする場所として認識させます。

サークル内での管理

広い場所にペットシーツを敷いてもそこで排泄してくれる可能性は極めて低いです。
そのため、サークル内にペットシーツを敷き、排泄をさせるようにします。
サークル内ペットシーツを広めに敷くことで、必然的にそこで排泄をします。

愛犬が排泄しそうな行動や時間になったら、サークル内にいれてペットシーツの上で排泄をさせます。排泄をしたら、たくさん褒めてあげてくださいね。

何度も繰り返すことで、サークル内のペットシーツをトイレと認識するようになってきます。

トイレのタイミングを知る

ご飯を与える時間やお散歩に行く時間など、ある程度の生活スタイルが分かれば愛犬のトイレのタイミングが分かります。はじめのうちは、記録をすると分かりやすいですね。
基本的に子犬はトイレの回数が多く、成犬になってくると回数が減少します。

また、犬によってそれぞれ排泄する前の行動が異なります。
例えば、排泄前に地面の匂いをかぎ始める、くるくると回り始める、など見られることが多いです。
愛犬によって異なるので、よく観察してみてください。

トイレを失敗ししまった時

粗相をしてしまった時は、何も言わず淡々とお掃除をしてください。
失敗した時に叱ってしまうと、おしっこを我慢し膀胱炎になることや隠れて他の場所で排泄をしてしまうことがあります。

成長した犬でもトイレのしつけはできる?

成犬の場合すでに生活に慣れているのに加えて、社会化期の子犬に比べると覚えるのに時間がかかります。

加えて、子犬に比べて排泄の回数が少ないため、トイレシーツの上で排泄を成功させる回数も減ってしまいます。
そのため覚えるタイミング自体が少なくなってしまいます。

しかし、覚えられないわけではありません。焦らず気長にトレーニングしていきましょう。

成長した犬のトイレのしつけ方法

トイレトレーニングの方法自体は子犬の時と大きく変わりはありません。
ここでは、いくつか上手くいかない場合を考えていきます。

トイレの場所

成長した犬の場合、既に自分の中である程度のルーティンワークがあります。
トイレに関しても自分の中でこの場所でしたい、したくない、などこだわりがあるかもしれません。

その場合は、お部屋の中でおしっこやうんちをしてしまう場所を目安に、トイレの場所を決める方がスムーズです。
排泄する場所に、広めにペットシーツを引いてシーツ上に排泄するのを慣れさせます。
そこできちんと排泄ができたら、たくさん褒めてあげてください。ご褒美も有効です。

慣れてきたらペットシーツの範囲を徐々に狭めていきます。
排泄をペットシーツの上にすることを認識できれば上出来です。
もしトイレの場所を移動したいのであれば少しずつ、ずらしていくのも良いでしょう。

ペットシーツからおしっこがはみ出てしまう

もともとはおトイレが上手くできていたのに、ペットシーツからおしっこがはみ出てしまうケースがあります。

理由はわざとしている場合や、トイレに入っているつもりで無意識ではみ出している場合など様々です。

その際はトイレの周りにもペットシーツを敷いておきましょう。最初のうちは広めに敷き詰め、そこで排泄ができたら褒めてあげます。
徐々にペットシーツを減らしていき範囲を狭めていきます。

トイレが気に入らない

トイレのトレーの感触や設置している場所が気に入らないことがあります。
トイレ自体が苦手な場合は、床に直接シーツを敷くのも良いです。

色々な場所におしっこをする

成犬の雄犬が色々な場所におしっこをする場合は、もしかしたらマーキングかもしれません。
マーキングは縄張りを示しています。性成熟するとホルモンの影響でマーキングします。

この場合は、特に尿意があっておしっこをしているわけではありません。
去勢をすることで、いくらかマーキングを抑えることが期待できます。

外でしかトイレをしない犬の場合は、どうしたらいい?

室内で全く排泄をしない場合があります。
その場合はまず、普段お外で排泄をする時にどのような場所でしているかを確認します。
電柱や土、草などいろいろな場所があると思います。

場所がわかったらお散歩時にはペットシーツを持ち歩き、排泄する時に合わせてペットシーツを敷きます。そうすることで排泄=ペットシーツにするもの、と覚えさせます。

部屋にペットシーツを敷く場合は、なるべく静かなところに配置し、集中して排泄できるよう促します。

成功したらたくさん褒めたり、ご褒美をあげたりしてください。
そうすることで、室内でもペットシーツがあるところをトイレと認識しやすくなります。

また、こちらの記事も併せて確認しておくのがおすすめです。
室内飼いと室外飼いの方法について、こちらの記事で解説しています。

なかなかトイレが覚えられないときの解決方法

根気よくトイレトレーニングやっても覚えられない場合は、原因を考えてみましょう

トイレの場所を誤認識している

こちらがいくらトイレの場所と指定していても、本人は違う場所をトイレと認識している可能性があります。

感触が柔らかい布などが置いてある場所でおしっこをしたがる犬は多いです。
また、匂いでトイレの場所を決めている場合もあります。
対策としては、柔らかい布やクッションなど、おしっこをしそうなアイテムを置かない、あるいは匂いが残らないよう洗濯したり物を変えたりするのが良いかもしれません

しつけを間違って認識している

粗相をしたときに声をかけて、怒っているのに構ってもらえていると勘違いしているケースがあります。

愛犬は構ってもらえると喜びを感じます。
そのためこちらは怒っているのに、犬が構ってもらえて嬉しいと感じると同じ行為を繰り返します。

そうならないよう、トイレトレーニングで粗相をしてしまったら、怒ることなく淡々と冷静に掃除をするようにしてください。

トイレトレーニングは焦らず、じっくりと

トイレを覚えるのに全然苦労しなかった。お家に迎え入れたらすぐ覚えられた、など耳にすることがあります。
そんなことを言われてしまうと、うちの子だけ覚えが悪いのかな・・と思ってしまうかもしれません。

しかし自然に覚えたわけではありません。
すぐ覚えられた子たちはペットショップやブリーダーさんに教えてもらっています。

犬は初めからペットシーツ=おしっこする場所という認識はありません。
そのためまずはペットシーツの上でおしっこする認識を持たせる必要があります

特に成犬になってくるとトイレを覚えるのには、かなり時間がかかります。
とても根気が必要なしつけの1つですが、無理はさせないでください。
お外でしないからといって室内でずっと我慢させてしまうと、膀胱炎などの病気になってしまう可能性があります。

人間も習慣化したものは、なかなか変えることは難しいものです。
成犬以上の子の場合には特に、トイレトレーニングは気長に取り組むようにしてください。

まだ子犬さんであれば今がチャンスです。たくさん褒めながらおトイレを覚えてもらいましょう。

この記事を書いた人

千葉 恵
獣医師

日本獣医生命科学大学卒業
卒業後、千葉県の動物病院にて小動物臨床に従事

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