ワンカルテ > 愛犬の健康を守る > 【獣医師が解説】犬の散歩は毎日必要?理想的な頻度や回数、距離を解説

【獣医師が解説】犬の散歩は毎日必要?理想的な頻度や回数、距離を解説

最終更新日:

犬との生活で思い浮かぶ事といえば、まずはお散歩ではないでしょうか?
超小型犬から大型犬まで、犬の大きさは全く異なります。その分、運動量も異なってきます。

体が小さい場合は、ある程度の部屋の広さがあればお散歩しなくても十分に運動量がまかなえるかもしれません。
一方で大型犬は、室内のみだと運動量をキープすることは困難ですので、お散歩が必要です。

散歩について不安で犬を飼うか悩まれている方もいらっしゃるかと思います。
今回は犬のお散歩について解説していきます。

室内で飼っている犬に、お散歩は必要?

チワワのようなとても小さな小型犬の場合、ある程度の広さがあれば運動量としては十分です。

しかしお散歩に行く事は、愛犬のストレス解消や気分転換につながります。
またお散歩中に一緒に暮らしている家族以外の人や犬、動物などに触れ合うことで社会性を身に付けることができます。

また、日々のお散歩が習慣化されれば、運動不足につながります。
運動不足になると体重が増えてしまい、体重が増えると体が重いため動きたくなくなります。そして筋肉の低下につながります。筋肉の低下でさらに体重は増えやすくなります。

こうした悪循環で体重がどんどん増えてしまいます。
また、体重が増えることで様々な病気にもなりやすくなってしまいます。

このようにストレス解消以外にも、お散歩の時間を取る事は体型・健康を維持することにつながります。

理想的な犬の散歩の頻度

愛犬の年齢、大きさ、犬種などによってお散歩の時間や距離は変わってきます。
基本的に大きい犬ほど、より多くのお散歩の時間が必要です。

お散歩の回数としては、朝と晩の1日2回程度がお勧めです。
飼い主さんの生活スタイルもあるかと思いますので、特に小型犬の場合は1日1回でも問題はありません。

お外でしかおしっこやうんちをしない場合は、やはり1日2回はお散歩に行った方がいいですね。
しかし、天候の悪い日のお散歩は、とても大変です。
そのため、なるべく室内でもうんちやおしっこができるようにしつけができるとすごく良いですね。

お散歩に行くタイミング

お散歩に行くタイミングはいつから?そして、いつが理想的なのでしょうか?

子犬のお散歩デビュー!初めてのお散歩のタイミング

子犬を迎えた場合は、お散歩はいつ頃から行けば良いのか気になりますよね。
子犬はワクチンの状態によって、お散歩デビューの時期が変わってきます。

ワクチンを打つ回数は1回目のワクチンの時期により異なりますが、2回または3回のワクチン接種が一般的です。

最後のワクチンを打ってから2週間ほどで免疫力が高まります。
そのくらいから本格的なお散歩デビューができます。

しかし、子犬にとってお外はとっても刺激的です。今まで見たことなかったものや、音、風などを感じます。

先ほど、地面を歩くようなお散歩はワクチンが済み免疫力が高まってから、とお伝えしました。外の刺激に慣れるために抱っこをして歩いたり、お外を見せたりすることで慣らしておくと良いでしょう。

また、地面を歩く最初の散歩はもしかしたらあまり歩けないかもしれません。それは初めての体験で慣れていないからです。
最初は無理に長い時間・長い距離お散歩に行こうとせず、少しずつ増やすようにしましょう。

興奮しすぎて飛び出したり変なものを食べたりしないように、きちんとリードをつけて見張ってくださいね。

毎日のお散歩の時間は?いつ行く?

お散歩に行く場合は、なるべくご飯を食べる前をお勧めします。
ご飯をたくさん食べた後に動くと、胃捻転や胃拡張などになってしまうケースがあります。
特に胸の深い犬種は注意が必要です。

また、規則正しく同じ時間にお散歩に行っていると、もし行けなかった場合に要求吠えをすることがあります。
吠えるからといって要求吠えに従ってしまうと、わがままを言うようになってしまいます。

わがままな子にならないように、食事やお散歩などのタイミングは飼い主さんの好きな時間にして、主導権を持ってください。

散歩が長ければいいわけじゃない。適切な距離を把握しよう

お散歩をどのくらい行くか、犬の大きさや年齢、体力などによって異なります。
また、性格的にもお散歩が好きな子もいればそこまで好きではないこともあり、その子その子で違います。
基本的には体が大きいほど、お散歩は長く必要になります。

大型犬の場合およそ1日2回、1回が30分〜60分ほどを目安にします。
中型犬であれば大体30分ほど、小型犬であれば15分ほどを目安にします。

ただし、チワワなどの超小型犬の場合、あまり長距離の散歩には体の構造的に向いていないため、お散歩の距離や時間には注意しましょう。

暑い夏の散歩はどうする?

毎年夏になると熱中症のニュースをよく目にしますよね?犬も人と同じく、熱中症になります。むしろ犬の方が人よりも夏は過酷な季節です。

夏のお昼間に地面を触ってみてください。直接浴びる太陽熱はもちろん熱いですが、地面に吸収された熱は触ってみると、とても熱いです。

犬は地面に近いところを歩いているため、人が感じる以上に暑さを感じています。
さらに熱い地面を歩いてしまうと、肉球を火傷してしまいます。

愛犬の熱中症対策についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

お散歩に行く場合は、できるだけ早朝や夜の涼しい時間に行くようにしてください。
できれば、一度地面を手で触って熱くないのを確認してから行くと良いでしょう。
とても熱い場合は時間を変えるべきです。

アスファルトやコンクリートは熱くなりやすいので注意してください。
肉球の保護パッドや靴下も、愛犬が履けるようであれば良いアイテムです。
さらに、暑さ対策として首に巻くタイプの冷たいバンダナやクールネックなどもお勧めです。

お散歩には、お水を持っていきましょう。こまめに水分補給をさせながら、愛犬自身が疲れてしまっている場合は無理せずにお散歩を終了してください。

また、暑い時はハアハアと舌を出しているのが目立ちます。これは、体温を下げるためのパンティングといわれる呼吸です。

犬は人のように汗をたくさんかくことができません。汗で体温を下げることができないため、パンティングによって体温調節を行います。
パンティングが多い場合は体温が上昇し、苦しい状態かもしれません。注意してください。

特に鼻が短い短頭種の子たちは熱中症になりやすいです。
暑くない時間帯に短時間だけ行く程度の軽いお散歩にしてください。

お散歩でみせる愛犬の表情

お散歩は、うんちやおしっこをすることだけが目的ではありません。
外の世界は、室内とは全く異なります。風や匂い、音、見るもの全てが新鮮で毎日変化するものです。そうした変化を見て、愛犬は何かを感じ色々な表情・仕草をみせます。

その表情・仕草を見るのも愛犬と一緒に暮らす楽しみになりますよね。
またお散歩は義務ではありません。気が乗らない時は、排泄だけ済ませてお散歩をお休みしても問題ありません。

義務に感じてしまい、必ず1日2回この時間に行く!と決めてしまう飼い主さんもいます。
しかし、日よっては面倒に感じてしまう日もあるかもしれません。

愛犬は飼い主さんをよく見ています。飼い主さんがお散歩に行きたくない気持ちが伝わってしまうかもしれません。そのため、気分が乗らない場合は無理に行かずに少し時間を短くする、またはお休みするのも良いでしょう。

せっかくのお散歩なので、飼い主さんも愛犬も大切な時間として過ごしたいですよね。
お互いが楽しく行ける時間を作っていきたいですね。

この記事を書いた人

千葉 恵
獣医師

日本獣医生命科学大学卒業
卒業後、千葉県の動物病院にて小動物臨床に従事

あわせて読みたいコラム

あわせて読みたいコラム