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【獣医師が解説】犬の遠吠えには理由がある!犬の気持ちと対処法を解説

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犬を飼っている人も飼っていない人も、一度は犬の遠吠えを聞いたことがあるのではないでしょうか?

犬は吠える生き物ですが、遠吠えはいつもの吠え方と少し違います。
コミュニケーションの1つと考えられていて、かなり大きい声で遠くに向けて発声します。
大きい声なので、場合によっては、やめさせたい時もありますよね。

消防車、パトカー、救急車などのサイレン、夕暮れの時報の音楽などが聞こえると、遠吠えをする場合があります。それ以外にも、興奮した時や構ってほしい時などにも遠吠えすることがあります。
遠吠えする理由を理解して、犬の気持ちや対処方を考えていきましょう。

犬の遠吠えとは?

遠吠えは祖先であるオオカミを始めとする、犬科の動物の音声コミュニケーションと考えられています。

かつて狼は遠く離れた場所にいる仲間に情報を伝えるため、遠吠えをしていました。
特に狼は狩りをしていたので、仲間に危険を知らせたり、相手に縄張りを知らせたり、狩をする上で有益な情報を伝えていました。
それ以外にもオオカミ同士の絆の確認などでも使われていたと考えられています。

もちろんペットとして飼われている犬は、狩りをする事はありません。
しかし、犬の遠吠えも仲間に何かを伝えたくて、行なっていると考えられています。
その相手は、犬だけでなく飼い主さんも含まれます。

普通の鳴き声との違い

愛犬を観察していると様々な鳴き声がありませんか?
「ワンワン」と鳴く時と「ウ゛ー」と鳴く時では状況が違いますよね。

犬が鳴いている時は、何かを表現する、あるいは何かを訴えようとしているなど、様々な意味合いが含まれています。

鳴き方によって愛犬の伝えたいことが分かれば、もっとコミュニケーションが取りやすいですよね。ここでは簡単に、犬の鳴き方について解説していきます。

よく見られる、ワンワンと鳴く場合

いわゆるワンワンと鳴く、最も多い鳴き方です。何か要求していることが多いです。
例えば、おやつが欲しかったり、かまって欲しかったりといったケースが多いでしょう。

その他にも、警戒している場合や興奮している場合などにも見られます。
お散歩中に知らない犬または苦手な犬などに吠える時を考えると、分かりやすいですね。

唸るように鳴く場合

唸るようにウ゛ーと鳴く場合は、基本的には怒っているような近寄りがたい様子です。
威嚇をしている時や、独占欲を示す場合にこういった鳴き方をします。
おもちゃを取り上げた時や他の犬と喧嘩をする時などに見られます。

クーンと鳴く場合

クーンと高めの声で鳴くことがあります。
何か物を要求している時や、甘えたい時にクーンと鳴きます。
また飼い主さんが出かける時などに、寂しさや不安で鳴くことも場合もあります。
状況によっては、どことなく切ないような印象がありますね。

キャンと鳴く場合

診察時によく飼い主さんからお聞きするのが、キャンという鳴き方です。
大抵の場合、痛みを表していることが多いです
体を触れた時や歩いている時などに痛い場合見られます。

ワオーンと鳴く場合

今回のテーマである、遠吠えの鳴き方です。大きな声で遠くに届くように鳴きます。
オオカミでは群れの遠くの仲間に知らせるために、このような大きな声になったと考えられます。他の犬が鳴き始めると、呼応するように遠吠えします。

犬が遠吠えする理由とは?犬の気持ちを知っておこう

遠吠えはただ大きい声でなんとなく鳴いているわけではありません。何かを伝えたかったり、恐かったり、理由は様々です。

他の犬へのコミュニケーション

遠吠えは、もともとオオカミ同士のコミュニケーションとして使われてきました。
オオカミと異なり、ペットとして生活している犬では狩りや群れをなすオオカミほど遠吠えは必要ありません。
しかし、犬同士でも遠吠えはコミュニケーションの一つとして考えられています。
そのため他の犬が遠吠えし始めた場合に、反応して遠吠えをすることがあります。

音に反応している

救急車やパトカー、消防車等のサイレン音に反応して遠吠えをするケースがあります。
これらの音の周波数は、犬の遠吠えと近いと考えられています。
そのため、こういった音がすると反応して遠吠えをしているのではないかと言われています。

寂しさや不安がある場合

子犬が環境に慣れない時などに、遠吠えをすることがあります。
その場合は不安がある場合や、寂しさなどからくる遠吠えと考えられます。
飼い主さんに来て欲しい時に鳴くこともあります。
同様に留守番中にストレス等を抱えると遠吠えをすることもあります。

飼い主さんに喜びを伝えている

飼い主さんが家に帰ってきた時や、何か嬉しいことなどがあった時に遠吠えをすることがあります。遠吠えは犬だけのコミュニケーションではなく飼い主さんにも伝えています。不安や寂しさだけではなく喜んでいることもあるので、よく観察してみてくださいね。

認知症による遠吠え

人間と同様に犬にも認知症があります。犬の高齢化も進んできているため認知症を発症します。特に柴犬などの日本犬によくみられます。

認知症ではいろいろな症状がありますが、徘徊や夜鳴きなどがよく見られます。
そのため高齢期になってから遠吠えするようであれば、もしかしたら認知症の可能性があります。

犬の遠吠えをやめさせるには?

ここまでいろいろな遠吠えに関して見てきました。
サイレンなどの音に合わせて行う遠吠えに関しては、本能的なもののため、直すのは難しいかもしれません。
また犬同士のコミュニケーションとしての遠吠えは、いつ相手の犬が鳴くか分からないため予測が難しいですよね。

しかし、遠吠えは声も大きいので場合によっては、必要以上の遠吠えは避けたいものです。
中には遠吠えを止めさせられることもあるので、対策別にみていきましょう。

犬のしつけ方の基本はこちらの記事で確認できます。
ぜひあわせてご覧ください。

愛犬と一緒にいる時間を増やす

お留守番が多いと、愛犬は寂しくなったり不安になったりします。
飼い主さんともっと沢山一緒にいる時間が増えることで、寂しさが落ち着き遠吠えを軽減することが期待できます。
ストレスも軽減できるので、構ってあげている時間が少ないようであれば、なるべく時間を作れると良いですね。

他に注意を紛らわせる

遠吠えを始めたら、おもちゃで遊ぶことで意識をそらすのも1つです。
おやつを与えてしまうと、遠吠えをするとおやつがもらえると勘違いすることがあるので注意しましょう。

動物病院に相談する

高齢になって遠吠えするようになった場合は、認知症が原因かもしれません。
その場合は、犬自身が意図してやっていることではありません。
認知症に対するお薬もあるので、一度動物病院に相談することをお勧めします。

まずは、どうして鳴いているか考えてみましょう

人間と違って犬は言語を使ってお話しをすることができません。
しかし色々な吠え方があります。

その中でも遠吠えは声が大きいため、少し迷惑に感じてしまうかもしれません。
しかし愛犬が何を伝えているかを考えることによって、場合によっては遠吠えを抑えることができます。

中には病気が隠れていることもあるので、心配であれば動物病院で獣医師に相談するのも1つです。
愛犬の気持ちを知ってもっとコミュニケーションをとることで、充実した生活を送りたいですね。

この記事を書いた人

千葉 恵
獣医師

日本獣医生命科学大学卒業
卒業後、千葉県の動物病院にて小動物臨床に従事

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